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【解説】なぜ半導体は不足する?どうなっているんだ半導体業界?!説明記事

こんにちは、

Fa1(ふぁいち)です。

 

最近ニュースや新聞でこんな見出しを見かけます。

半導体不足」

半導体が足りない」

「ラインダウン」

 

NHK日経新聞等、大手メディアが取り上げているこの問題ですが・・・

 

そもそも半導体ってなに?

足りないならもっと作れば?

 

と思われる方も多いのではと思います。

 

そこで今回は、半導体業界での実務経験のある私がその疑問にお答え致します!

 

※・・・と豪語しておきながら、弱気な注記です。本記事は私的な見解も入っております。一般的に公開されている情報から記事を作成していますが、全てが必ずしも正確とは言い切れません。その点についてご了承いただければと思います。

 

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半導体について

半導体ってなに?

そもそも半導体とはどんなものなのでしょうか。

以下は、Wikipediaからの引用です。

半導体(はんどうたい、英: semiconductor)とは、電気伝導性の良い金属などの導体(良導体)と電気抵抗率の大きい絶縁体(不導体)の中間的な抵抗率をもつ物質を言う。代表的なものとしては元素半導体のケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、化合物半導体のヒ化ガリウム(GaAs)、リン化ガリウム(GaP)、リン化インジウム(InP)などがある。

半導体集積回路のような半導体素子は半導体の工学的な利用例である。

Wikipedia  https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%8A%E5%B0%8E%E4%BD%93

 上記の説明をさらに砕いて説明すると、金属のように電気を通す「導体」ゴムのように電気を通さない「絶縁体」中間的な性質を持つ物質で、電気を流したり止めたりすることができます。この性質を活用すれば意のままに電気を流す/流さない(ON/OFF)を制御できるデバイスを作ることができます。

 

半導体の電流のON/OFFを制御できる性質を利用することで生み出された電子素子がトランジスタというもので、現在の集積回路、いわゆるIC( integrated circuit )チップの基となっています。

ICチップを用いることで、流す電流を強くしたり(増幅)切り替えた(スイッチング)と、電気信号に変化を与えることができます

 

皆さんが普段から使われているスマホやパソコン、テレビや洗濯機等、電化製品とよばれるものはすべて電気を供給することで動作します。

 

電化製品に電気を供給(コンセントにプラグをさしたり、バッテリにつないだり)するだけで、映像・音声が流れたりと高度な動作をするのってなんか不思議だと思われたことはありませんか?

 

これは単純な電気をICチップ、すなわち半導体がその性質を活かして、様々な電気信号に加工することによって複雑な処理を行ってくれているのです。

すなわち・・・

 

半導体が無いと、そもそも電化製品は動作しない

 

ということになります。

 

ちなみにICチップはこんな感じの黒くて小さくて(2mm四方とか)足がいっぱい生えているやつです↓

 

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電化製品の中にはこんな感じ↓の基板が入っていて、ICや抵抗器等の素子をたくさん組み合わせることでその機能を実現します。電化製品を分解したことがあるかたは見たことがあるかもしれませんね。

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半導体の作り方

半導体と呼ばれる代表的な物質ケイ素、ゲルマニウム、化合物半導体のヒ化ガリウム、リン化ガリウム、リン化インジウムなどがあります。もうすこし身近な言葉ですと、シリコン(ケイ素)という言い方のほうがわかりやすいかもしれません。

 

実はシリコンは地球上で二番目に多い元素で(一番は酸素)、土壌や岩石に含まれているものです。

しかし、自然の中にあるシリコンは他の元素と結びついてしまっていることが多く、ICやとして使うには精錬して純度の高いシリコンを抽出する必要があります。

※ ICとして用いるにはなんと99.999999999%(イレブン・ナイン)の純度まで精錬する必要があります

 

高純度なシリコンとして精錬されたシリコン(インゴットと呼ばれます)は、そのままではただのシリコンですので、ICとしてとして機能をするように加工をしてやる必要があります。以下がその流れになります。

 

  1. ICチップとして機能させるための回路を設計する
  2. インゴットを薄い円盤状(ウェーハ)に切断する
  3. ウェーハ上に設計した回路を転写する
  4. ウェーハを切断しチップ(ダイ)を取り出す
  5. 取り出したチップを樹脂等でパッケージングする(ICになる)
  6. それぞれのICに電気的な検査を行う

 

非常にざっくりとしていますが、大まかな流れは以上になります。

上記の2~3までを前工程、4~6までを後工程という呼び方もします。

半導体が出来るまでの詳細について非常にわかりやすく解説している記事もたくさんありますので、興味のある方は下記等も見てみてください。

www.hitachi-hightech.com

 

ちなみに、この前工程と後工程を全て終えて出荷できる状態になるまで・・・

約3ヶ月掛かります。

上記では説明の簡略化のために6工程ほどで終わっている用に見えますが、実際には何百工程もあります。微細な部品に複雑な加工を施すため、時間がかかってしまうのです。

 

そして、この製造までに掛かる時間が半導体不足にも影響してきてしまうのです。

 

半導体業界の現状

2020年初頭でのコロナの影響

2021年1月現在でも、収束の兆しが見えない新型コロナウィルス。

コロナはサービス・観光業のみならず、自動車業界やインダストリアル業界にも影響を及ぼしていました。

現代の車にはたくさんの電子制御が使用されています。ドアロックや点火制御のような基本的なところから、HUDやインジケータ機等も電子制御によって実現されています。

そして、電子制御があるということは、半導体が使われているということになります。

 

コロナ以前は、自動車への需要は高く、半導体業界も自動車メーカーへのプロモーションを集中させているところが多く目立ちました。

そんな自動車業界は、2020年の春頃からコロナによるロックダウン等の影響で、部品が手に入らなくなりラインダウンを繰り返しました。

www.marklines.com

 

自動車の工場が止まれば、自動車に供給する部材メーカも部材の生産数を抑えるしかありません(不良在庫になる可能性が高いため)。

この状態は自動車業界のみではなく、インダストリアル業界やその他の市場でも発生しました。世界中の人々が新型コロナという予測不能な存在を警戒し、物を作ることを抑え始めたのです。

 

この状態は2020年の後半まで続きました。

2020年末にかけて

多くの市場が低迷し、低迷した需要に即した製造に舵切りをしていた部材メーカでしたが、突然2020年の10月頃から大きく市場が動き出しました。それは・・・

 

巣ごもり需要中国市場の復活。

 

在宅ワークや緊急事態宣言といった影響で自宅で過ごす時間が増えた人々は、室内での娯楽(ゲーム機)や仕事環境の整備(パソコンや周辺機器等)を加速させます。さらに、初期に影響を受けた分立ち直りが早かった(コロナを克服したわけではないのですが・・)中国が、先陣を切って経済を動かし始めました。特に低迷していた自動車業界は損失を取り戻そうと一気に動き出します。

その結果、製造工場の稼働率が下がっていた部材メーカは急激な需要に応えるべく製造を始めます。景気が良くなっていきますね!!!

 

・・・ちょっと待ってください。

 

先の「半導体の作り方」の項目でお話したとおり、半導体は完成までに約3ヶ月掛かります

そのため、即納できる在庫がなければ注文が入ってから納品までに3ヶ月を要します。そうなると、ありものの在庫をすぐにでも確保しようと、各業界から大量のオーダーが掛かります半導体も一度に作れる数に限界があります。

その数を超えれば次に納品できるのは更に3ヶ月後・・・すなわち6ヶ月後になります。

※実際には、別の工場で振替製造等を行う場合もあるので、単純に6ヶ月後となるとは言い切れませんが。

 

製造できるキャパシティが決まってしまっているので、欲しい欲しいと騒いでもどうしようもないのが現実です。

 

従って、昨今の

半導体が足りない」

という状態が発生してしまうのです。

 

※2021/4/18 追記 

先述の事情に加えて、パニック注文も多くあるそうです。

モノが無くなると危惧したメーカーや販売店が必要以上に買い込もうとする動きが、不足を加速させています。

多くのメーカーは、最初から半導体が手に入らないことを前提に、いくつもの柔軟な対応が求められています。

まとめ

半導体メーカが今後どのようにこの需要集中を乗り切っていくのか、その点については今後も注目されていくポイントだと思います。

作りたいのに作れないという現実が、経済の復活を鈍化させてしまっているかもしれません。

各メーカーは、素早い判断と柔軟な対応がより一層求められるでしょう。

 

それでは、また次回の記事でお会いしましょう〜

 

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